この存在を

 

抱きしめる

この空間の

形のないあやふやなものを…

  求めるのは

あやふやで

掴み所がないから

余計に惹かれてしまうのかもしれない

  誰なんだろう

この深い

悲しみの海で

泣いているのは…

 

  もう泣かないでいいんだよ

  そっと 囁いてみる

 

子守歌のようにゆっくりと

  そっと そっと 囁いてみる

 

 

《この存在を求めるのは誰なんだろう》

 

《この存在》とは、なによりもまず、

私たちの内面の奥深くにひそんでいる

何か得体の知れないもの。

そして、無色透明で形がないのに、

確かに存在するもの。

求めるものであり、時に、求められるもの

小さくもあり、また、大きくもあるもの

深い悲しみのなかに存在するもの

拡い喜びのなかにうちふるえるもの

シンプルで、複雑なもの

そして、たぶん、あたたかなもの

 

 

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